「失踪日記2 アル中病棟」


失踪日記2 アル中病棟 吾妻ひでお

読みました。まず感激したのは、冒頭

「酒で身も心もボロボロになって 破滅していくのってむしろ美しくて 潔いと私は思ってるんですけど 奥さんや子供達が厳しい目で 見張っているしなあ」

というコマ。なんという突き放した人生観。いや、実は私もそう思います。
私は結果的に、子どもができて家族ができたことで、アルコールを止めました。でも「いつ転がり落ちるか」は、よくわからない瀬戸際にいるよなー と今でも思います。この「自暴自棄感」って何なんでしょうね。配偶者と酷いケンカをしたときに特に高まりますが、何か、とても平和に子どもと公園に散歩しにいってたりするときに、
「何という奇跡の瞬間だろう」
という幸福感の裏側に、常に「滑り落ちたい」というもはや願望ともいえるような暗渠から滑り出てくる黒いクラゲみたいなモノがへばり付いています。逆にその「黒いクラゲ」がいるから「現在のこの奇跡」を感じられる、とも言えるのですが。

今回の作品は、ギャグの入り具合は甘いのですが(つまり、あんまり笑えない)、客観的な視点にはさらに磨きがかかっています。かかりすぎて、虚無度が上がっています。が私はこういうのも非常に好きです。卯月妙子さんといい、ギャグ漫画家の「一歩引いた、冷めた視点」は、「ネ申」の視点だと思います。
アルコール中毒患者の病棟をレポートした書籍が、そもそもあまり多くない上に、写真ならぬ図版の解説付き(漫画なので)、他に類を見ない本になっています。そういう意味では「刑務所の中 花輪 和一」を彷彿とさせられます。花輪先生も北海道出身でしたね、そういえば。