金持ちケンカせず、の巻。

オバマが白人だったら、この医療保険改革は実現していただろうか? と思うことがある。

以下、かなり私事っぽいのでご容赦を。


今自分が生活して住んでいる場所は、ベイエリアバークレーで有名な「リベラルの牙城」みたいな場所。

そのへんを散歩すると、家の窓には「OBAMA」と書いたステッカーが貼ってあったりして、みんなオバマを支持している。

でもその家は1億円ぐらいする。

不動産価格が全体として大きく下落しているのに、サンフランシスコ市内とバークレーでは、上昇している。すぐ隣のオークランドは、フォークロージャー物件が増え続け、60パーセント下落した。オークランドは、全米二位の犯罪多発地帯。すぐ北にあるリッチモンドも、負けず劣らず治安極悪の貧困地帯。


バークレーは、SafewayよりもAndronicosやWholeFoodsといった高級自然食志向のスーパーのシェアのほうが高く、食料品・日用品の値段がものすごく高い。AndronicosではSafeway全く同じ商品を1~2ドル高い値段で販売している。チャイニーズ・マーケットと比べると、同じようなものを揃えた場合でも3倍ぐらい高くなる。

Safewayで買い物をする」ということが、「節約をする質素な人」という意味になる……、といえばどんだけ感覚が狂ってるか、この地域に住んでいる人にはわかってもらえるかもしれない。

Chez pannisse という全米でも有名な自然食レストランもバークレーにある。この不景気の折にそれでも予約がとれないほど繁盛しているが、4人で軽く500ドルを超える。

一部の高級住宅地を除き、公立学校は黒人とヒスパニックがほとんどで、白人の子はだいたい私立へ通っている。私立学校は年間数百万の学費がかかる。公立学校は予算がなくて教科書が買えず、宿題を出せない。


こういう場所に住む人たちが、オバマを熱狂的に支持している。

高い教育とお金のある人たちが、オバマを支持するというのは、国家社会的な観点から見た場合「正しい」といえると思う。

貧困の当事者たちが、物理的な抗議活動を行ったところで、たいがいの場合は「だんじり祭り」以上の意味も効果もない。例えば、UCバークレーの学費値上げに反対する人たちが、高速道路を封鎖する抗議デモを数日に渡って行った。テレビ各種報道の扱いは、まさに「だんじり祭りが行われました」程度だったし、実際にそれ以上の効果はなかった(しかもUCバークレーの抗議活動は、当事者でさえない人が中心だったというハナシ)。


ただ、私は個人的に若干の疑問をもっている。

バークレーに一軒家をかまえて住み続けられる人たちというのは、既に「中間層」ですらない。「かなりお金持ち」の人たちだ。家そのものの価格も高いが、家を維持するための固定資産税が日本とは比較にならないほど高い。生活費も高い。

サラ・ペリン率いる「ティー・パーティー」メンバーの所得構成が、年収1000万円(10万ドル)以上、とは言われているが、アメリカの年収1000万円は日本のそれとはかなり違う。税金がものすごく高いからだ。

例えば、今度通過したオバマの健康保険改革では、年収8万ドル以下の家庭には、政府補助がでる。年収8万ドルは約800万円。

例えば、年収6万ドル契約した場合(家族や婚姻の有無で変わってはくるが)税引き後の手取り年収は、4万2000ドル前後に過ぎない。

年収1000万円以上の「ティー・パーティー」の人たちが、健康保険改革に反対しているとすると、それは「貧困転落一歩手前」の「中間層」が「真・貧困層」に向けて石を投げているのと同じで、言ってみれば、弱者どうしの足の引っ張り合いにも見えてくる。


グルメ・ゲットーどころか、マジな貧困ゲットーをオークランドリッチモンドに控えているバークレーの「金持ち白人」たちが、リベラルなオバマを支持する、という構図。

絶望的な貧富の差が、移民と人種をはさみ、目にはっきり見える形で現れる国だからこそ、醜いといって差し支えないほどの滑稽な政治ドラマが日々繰り広げられている。という気がする。そんな今日この頃です。


あー、ちなみにウチは、賃貸で「poverty」levelにofficialにカウントされる世帯ですので、悪しからず。